ADSLでも国際電話被害に遭う? いかがわしいサイトにアクセスすると勝手に設定を変更され、高額の通信費を請求されることがあると聞きましたが、ADSLでもこのようなことはあるのでしょうか。 パソコンの設定を勝手に変更して、国際電話などをかけられ高額な請求をされる不正架電で重要なのは、ADSLを利用しているかどうかではなく、パソコンのモデムに電話線をつないでいるか否かです。ADSL接続でも、モデムに電話回線をつないだままにしておくと高額通信費の請求を受ける危険性があります。ダイヤルアップ接続が不要ならモデムから電話線は外しておきましょう。 一方、名簿業者から入手したリストなどを使い、国際電話料金やダイヤルQ2情報料名目の架空請求書を勝手に送りつける悪徳業者もいます。覚えのない請求は無視して構いませんが、悪質な取り立てを受けたら、警察に通報しましょう(図1)。
モデムから電話線を抜く 罠が張られたWebサイトにアクセスした結果、高額請求を受ける仕組みを簡単に説明します。利用者が不正なWebサイトにアクセスすると、「年齢確認、あなたは18歳以上ですか?」や「続きを見たい場合はこちら」といったボタン付きダイアログが表示されます。ここで「はい」ボタンを押すと書き換えプログラムがパソコンに送り込まれ、設定されているプロバイダーの電話番号をダイヤルQ2や海外の電話番号に書き換えます。以後、ネットに接続すると、プロバイダーではなく、ダイヤルQ2や海外に電話をかけるのです。その結果、被害者は突然、電話会社から身に覚えのない高額な利用料金を請求されることになるのです。 これまで罠が張られるのはアダルトサイトがほとんどでしたが、最近は占い、投資、アイドル、アニメ、子供向けなど、あらゆる分野のサイトに罠が仕掛けられており、「いかがわしいサイトに近づかなければ大丈夫」とはいえなくなってきています。 この仕組みからも分かるように、金銭的被害が発生するのは、不正な番号に電話をかけるためです(図2)。ADSLやCATV接続でも、ソフトがモデムで電話をかけることが可能なら、被害は起こり得ます。電話線を外しておけば、電話をかけることはできませんから、国際電話会社やNTT東西から身に覚えのない料金請求を受けることはありません。
被害の深刻化に伴い、電話会社による対策も進みつつあります。NTT東西は2002年1月からダイヤルQ2にパスワード機能を追加、高額請求が発生する接続を制限する仕組みを用意しました。一方、不正な国際電話は、被害の95%以上が、セイシェルとディアゴ・ガルシア向けの通話で、大手国際電話5社は、2002年12月から、両国へのダイヤル通話を無期限停止、または廃止としました。 これらの対策で被害を根絶やしにできるわけではありません。モデムと電話回線を使う場合は、国際電話サービスを停止するなど、ユーザー自身の自衛も依然として必要です。 |
|||||||||||
|