個人情報がいつの間にか相手に握られた?

勧誘メールのURLにアクセスしたらいつの間にか会員登録完了となり、振込を促す内容が表示されました。個人情報を入手したかのごとく書かれていますが本当でしょうか。

分で何かしらの情報を入力しない限り、アクセス先のサイトが個人を特定できる情報を入手することは不可能です。あたかも入手したように見せかけたページを見て、そこに記載されている電話番号や届いたメールに連絡すると、被害は拡大します。「完全に無視」が鉄則です。

 現在、こうした「個人情報を取得した」と見せかけ、高額な利用料金を請求する事件が増えています。その一連の流れを見てみましょう。

 まず、携帯電話やパソコンにアダルトサイトや出会い系サイトの勧誘メールが届きます。記載しているURLにアクセスし、リンク先の一つをクリックすると突然、登録完了画面が表示されます。

 この画面にはまるで個人情報を取得したかのような文言が並びます。携帯電話の場合は「個体識別番号」「機種名」など、パソコンの場合は「IPアドレス」「ブラウザー情報」などの表示が多いようです。これに惑わされて被害に遭うわけです。

●登録完了画面に表示される情報の種類
勧誘メールにアクセスすると、氏名や連絡先など何も入力しないままいつの間にか登録完了画面に進んでしまうケースが増えている。しかも、画面上にあたかも個人情報を入手したかのような文言が並ぶ

 冒頭でも触れましたが、これらの情報で個人を特定することはできません。例えば個体識別番号などと書かれた文字列は、製造番号であることが大半です。製造番号で携帯電話番号や住所、氏名などの情報は分かりません。IPアドレスの場合も同様で、利用しているプロバイダーでなければ個人情報と結びつけることはできないのです。

 ただし、電話番号でメッセージの送受信ができるショートメッセージで届いた勧誘メールには注意してください。電話番号ごとに異なるURLを掲載して送りつけてくるケースがあります。どの電話番号を保持するユーザーがアクションを起こしたかが送信元に伝わり、メールに加えて電話で請求されることもあります。

●ショートメッセージで届く勧誘メールは特に注意
唯一気を付けなくてはならないのが電話番号だけでやり取りできるショートメッセージを用いた勧誘メール。送信先電話番号ごとに異なるURLを記載したメールを送りつけることで、どの電話番号を持つユーザーからアクセスがあったかが送信元に分かってしまう。この場合は電話番号が相手に漏れる

 ただ、この契約が意図しないものだった場合は先方の請求に従う必要はありません。「電子消費者契約法」では、事業者は消費者に対して申し込み内容を再度確認させるための画面を用意する必要があるとしています。こうした確認措置がない場合、契約自体の無効を主張できます。