近ごろ話題の「携帯フルブラウザー」って何?

最近、「携帯フルブラウザー」という言葉をよく耳にします。携帯電話向けのWebブラウザーのようですが、フルブラウザーを使うとどのようなメリットがあるのでしょうか。

携帯フルブラウザーとは、携帯電話用のWebブラウザーのなかで、パソコン向けにカスタマイズされたWebページを表示できるブラウザーのことを指します。

 「iモード」や「EZweb」など、携帯電話向けネットサービスの対応端末には、あらかじめブラウザーがインストールされています。しかし、パソコン向けサイトのURLを入力しても、たいていはエラー表示になるのがほとんど。携帯電話特有の画面の小ささが主な制約になっています。フルブラウザーなら、パソコン用のWebページをリサイズして、携帯電話上でも見やすく表示できます。

●PCサイトを携帯電話で見られる
NTTドコモの「SH901iC」で、「jigブラウザー」を使ってパソコン用サイトを表示したもの

 フルブラウザーは、今のところ、携帯電話にプリインストールされているタイプと、ユーザー自身でプログラムを追加インストールするものに大別できます。

 前者の代表格はパソコン向けWebブラウザーとしても有名な「Opera」。後者には「jigブラウザ」(月額1050円から)や「Scope」(無料)などがあります。いずれも上下スクロールだけでパソコン用Webページの閲覧が可能です。さらにOperaとjigブラウザは、パソコンと同様のレイアウトでWebページを閲覧するモードも用意しています。ブラウザーによって、利用できる機種に違いがありますが、今後発売される携帯電話では、かなりの割合でフルブラウザーへの対応が進むと見られます。

●フルブラウザーの種類と対応端末
導入方法 種類 主な特徴 対応機種 月額料金
プリインストール Opera 上下スクロールのみでWebページを見れるモードと、パソコンと同サイズで表示するモードを備える AH-K3001V(ウィルコム) 定額6090円
(基本料金込み)
W21CAII (KDDI) 定額5985円
(パケット代のみ)
追加インストール Opera(29ドル) 702NK (ボーダフォン) 従量課金制
NetFront
(2625円)
上下スクロールのみでWebページを見れる。テキストのみの表示も可能
jigブラウザ
(月額1050円、
年額6000円)
パソコンと同サイズでWebページを表示するモードと、表示面積を4分の1に縮小して表示するモードがある FOMA901i/900i/700iシリーズ (NTTドコモ) 定額4095円
(パケット代のみ)
mova506i/505iシリーズ、premini-II (NTTドコモ) 従量課金制
W11H、W11K (KDDI) 定額4410円
(パケット代のみ)
A5403CA、A5406CA、A5407CA (KDDI) 従量課金制
Scope
(無料)
上下スクロールのみでWebページを見れる。トップページに広告が出る FOMA901i/900i/700iシリーズ (NTTドコモ) 4095円
(パケット代のみ)
mova506i/505iシリーズ、premini-II (NTTドコモ) 従量課金制

 携帯電話ではニュースや天気、地図情報など、さまざまな情報コンテンツが有料で提供されてきました。携帯フルブラウザーの普及が進めば、これらのサービスを好きなときに無料で楽しめるようになります。

 とはいえ、すべてのWebサイトの表示はできません。ショッピングや会員用サービスなど認証が必要なものや、追加プラグインが必要なものなどにはほとんど対応しません。基本的には、総合ポータルサイトやニュースサイト、ブログサイトなど、テキスト情報がメインとなるページの閲覧が主な用途になります。

 常時接続・定額制が当たり前のパソコンと異なり、携帯電話からのアクセスはパケット単位での従量課金制となる点も注意が必要です。通常の料金プランでは、あっという間に数万円単位の料金が発生します。フルブラウザーには、パケット定額制サービスの併用が必要でしょう。