MPEG4の再生互換性は大丈夫? 最近、MPEG4形式の映像・音声録画や再生に対応した機器が増えていますが、同じMPEG4機器の間でも再生互換性が取れていないと聞きます。本当でしょうか。 MPEG4は、ISO(国際標準化機構)が策定した映像・音声圧縮の規格です。DVD-Videoに採用されたMPEG2に比べて圧縮率が高いため、携帯電話やデジタルカメラ、ゲーム機など内蔵するメモリーの記録容量に制限がある機器を中心に採用が進んでいます。 しかし、現状では再生の互換性に難があるのも事実。製品ごとに採用している規格に違いがあることも多く、同じMPEG4対応製品でも、片方の機器で記録した映像を別の機器で再生できない場合があります。
これはMPEG4の応用範囲が多岐に渡り、規格内容が複雑化したためです。MPEG4は規格策定当初、アナログモデムやISDNのような通信速度の低い回線を使った動画配信などを主要な用途として想定していました。ところが、回線の高速化とともに、高品位なテレビ放送や映像コンテンツ、音楽配信なども視野に入ってきました。ひとくちにMPEG4対応といっても、機器の特性に応じて規格が異なっているのです。
具体的に見ていきましょう。MPEG4では、用途ごとに複数のコーデックやプロファイルを定めています。コーデックとは映像や音声のデータを圧縮・伸張するプログラム、プロファイルとは圧縮の仕組みや映像品質を定義したもの。どちらの内容も、ファイルをやり取りする機器間で合致していなければ再生できない、または不具合が発生します。
例えば音声コーデックは、高音質な「AAC」や通話に適した「CELP」、さらに非常に圧縮率が高い「TwinVQ」などいくつかの種類を規格として認めています。しかし、音声コーデックの対応は各製品まちまちで、映像を再生できても音声が聞こえないといったトラブルが起こる可能性があります。
またプロファイルに関しても、動画分野だけで約20種類もあります。現状では、一つの製品がすべての規格に対応するのは困難な状況です。こうした規格の種類のはん雑さが互換性の障害となっています。 残念ながら、互換性の問題はすぐには解消しそうにありません。複数のMPEG4対応製品を利用する場合は、互換性についてある程度の割り切りが必要になります。 いくつかのメーカーでは問題解消に取り組んでいます。2002年、米アップルコンピュータなどの企業が「ISMA 1.0」を策定しました。ISMAは、プロファイル規格として移動体通信向けと高品質な動画配信向けの2種類のみを規定し、利用される規格の種類を減らすのが狙いです。ただし、現状では対応製品が少なく、抜本的な解決には至っていません。 |
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