顔料系インクって何?

インクジェットプリンターに使用されているインクの種類には、染料系と顔料系があると聞きましたが、違いを教えてください。印刷したときの画質が違うのでしょうか。

インクジェットプリンターで利用されているインクには、染料系と顔料系の2種類があります。違いを端的に表すと「発色が良く画質に優れる染料系、にじまず耐水・耐光性に優れる顔料系」となります。それでは違いを見ていきましょう。

 染料が溶媒に溶けている染料系インクは、用紙に染み込みこんで発色します。インクを重ね合わせて、細かな色合いを表現できるため、写真などを高画質で印刷する場合に利用されます。しかし、耐水性や耐光性が弱く、普通紙の印刷ではにじみやすいという弱点も併せ持ちます。

 一方、染料が塊の状態で溶媒に分散している顔料系インクはにじみにくく、耐水性や耐光性にも優れています。しかし、染料系インクに比べて、細かな色表現には向きません。

 現在の主流は染料系インクですが、文字をくっきりと印刷するために、カラーインクは染料系、黒インクのみ顔料系というプリンターも発売されています。実際、普通紙に文字を印刷して比較してみたところ、顔料系の黒インクを採用した製品の方が、にじみが少なく、メリハリのある印刷ができました(下の右図)。文字中心に印刷する場合は、黒インクが顔料系の製品がよいでしょう。

 ちなみにキヤノンは、PIXUSの「Sシリーズ」で顔料系の黒インクを採用していますし、日本ヒューレット・パッカードはすべての製品で顔料系の黒インクが利用できます。セイコーエプソンは、カラーインクも含めてすべてのインクが顔料系の「PM-4000PX」(9万4800円)を発売しています。

●染料系インクと顔料系インクの違い
特徴
インクを重ね合わせて細かな色合いを表現できるため、写真などの印刷に向く。一方、インクが染み込んで広がってしまうので、普通紙に文字を印刷するとにじみが出やすい
特徴
塊で用紙に付着するので、にじみが少ない。このため、文字の印刷などに向く。染料系インクに比べ、耐水性や耐光性は優れているが、写真などの印刷画質でやや劣る