XVDって何ですか?

最近、XVDという言葉をよく聞きます。動画ファイルの圧縮や映像編集に関係があるそうですが、どのようなものですか。他の映像圧縮方式との違いも教えてください。

XVDは、「eXtended-play Video Disc」の略で、動画の圧縮・伸張形式の一種です。米デジタルストリームが開発しました。動画編集ソフトなどを手掛けるビー・エイチ・エー(BHA)と共同で推進しています。

 動画圧縮方式にXVDを使うと、技術的にはDVD1枚分の映像をS-VHSレベルの画質でCD1枚に収めることができます。画質の劣化を抑えつつ、高い圧縮率を実現した点が、XVDの最大の長所です。XVDで圧縮された動画は、伸張ソフトウエアをパソコンにインストールすれば、Windows Media Playerなどで再生することができます。

●XVDのポイント
●動画圧縮・伸張形式の一種
米デジタルストリームが開発した独自技術
●動画ファイルを高効率で圧縮
HDTV2時間分をDVD1枚に収録できる
●一般的なプレーヤーソフトで再生可能
伸張ソフトをインストールすれば、Windows Media PlayerやReal Playerで再生できる

●圧縮率はWMV9の1.3倍

 最近では、パソコンでテレビ番組などの動画を再生・録画する使い方が一般的になりました。テレビ番組は1秒間に約30フレームの静止画を送信します。これを720×480ドットの解像度でそのまま取り込むと、データ量は30分番組でも50GBを超えます。いくらハードディスク(HDD)が大容量化しているとはいえ、そのまま録画したのではHDDはすぐにいっぱいになってしまいます。 

 そこで、通常は「エンコード」という動画圧縮処理をしてファイル容量を小さくします。原理的には、各フレームで重複するデータや、見た目には違いが分かりにくい細部などを省略し、容量を小さくするのです。

 通常、DVD-Videoやデジタル衛星放送ではエンコードに「MPEG2」と呼ばれる方式が使われます。MPEG2で、テレビ放送と同等品質の画質を約30分の1の容量に圧縮。2時間番組では7GB程度になります。

 しかし、MPEG2でも650MBのCDや4.7GBのDVDには、非常に短い時間しか記録できません。そこで必要になるのがより圧縮率が高いエンコード方式で、XVDのほかに米マイクロソフトが推進するWindows Media Video 9 (WMV9)や米ディビックスネットワークスのDivXがあります。これらの技術なら、動画ファイルの容量はMPEG2のさらに3分の1から7分の1程度になります。

 なかでもXVDは、同程度の画質を最も低いビットレート、つまり最も少ないデータ転送容量で実現しています。BHAでは、「XVDはDivXの約半分、WMV9の約7割のビットレートで同程度の画質を再現できる」としています。XVDを使えば、S-VHSレベルの映像をCDに約2時間。今後、普及するであろうHDTVレベルの映像も、DVDに約2時間記録できることになります。

●XVDとその他のエンコード規格の比較
名称 XVD DivX WMV9
DVD品質(MPEG2、6Mbps)を実現する
ビットレート
1M〜1.5Mbps 2.5Mbps 2Mbps
ハードウェア
エンコード
× ×
ソフトウェア
エンコード
DVDプレーヤーでの再生 × ×
日本語表示 ×
商用コンテンツ ×
その他の特徴 拡張子はvg2。音声圧縮は自動的にXVD形式になる 拡張子はaviかdivx。音声圧縮には別途音声コーデックが必要 拡張子はwmv。音声圧縮形式にはWMA9が使われる

 XVDの長所は、それだけではありません。唯一、専用のLSIを使用するハードウエアエンコードに対応しているのです。アイ・オー・データ機器は6月下旬、XVDに対応したビデオキャプチャーボードを発売する予定です。

アイ・オー・データ機器が6月下旬に発売予定のキャプチャーボード「GV-XVD/PCI」(3万7000円)。映像データ(MPEG1/2、AVI、WMVなど)や、音声データ(MP3、WMA、WAVEなど)のXVD形式への変換/圧縮をハードウェアで実行できる



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