デジカメの手ぶれ補正機能って何?

デジタルカメラで、「手ぶれ補正機能」の搭載をうたう製品が増えてきましたが、いくつかの方式があります。効果や補正の仕組みの違いについて教えてください。

急速に普及が進むデジタルカメラに、手ぶれ補正機能を搭載したモデルが増えています。ユーザーのすそ野の広がりで、高倍率ズーム機や高級機以外でも、手ぶれを補う機能の必要性が高まっているのです。

 三脚を使わない手持ちの写真撮影は、人間が生物学的に避けられない微小な揺れを起こすために、どうしても手ぶれを伴います。特に、夕暮れ時や室内での撮影など、シャッタースピードが低下するシーンでは、手ぶれの影響はさらに大きくなります。デジカメの場合、「ファインダーでなく液晶画面越しに撮影することが多いため、手ぶれはフィルムカメラより起こりやすい」(デジカメメーカー各社)との意見もあります。この撮影者の手の揺れが原因で発生する「光軸のずれ」を補正するのが、手ぶれ補正機能です。フィルムカメラでは、高級一眼レフカメラ用を中心に採用されていました。

●手ぶれ補正機能で失敗写真が減る
手ぶれ補正オフ 手ぶれ補正オン
コニカミノルタの「DiMAGE A1」を使用。手ぶれ補正機能をオンにすると、オフの時に比べてシャッタースピードを2段から3段遅くしても対応できる。手ぶれの起きやすい望遠での撮影や、室内など明るさの不足しがちな場所での撮影で特に効果を発揮する

松下は小型機に搭載

 手ぶれ対策用の機能は、メーカーごと、および同一メーカーであっても製品によって異なります。大きく分ければ、レンズやCCDをスライドさせることで光軸のずれを補正する専用機構を搭載するタイプと、シャッタースピードやISO感度を調節しているだけの2つのタイプがあります。

 光学的な手ぶれ補正機構を搭載したモデルでは、同機能をオンにするとオフ時よりシャッタースピードを2〜3段分遅くしても対応できます。

 松下電器産業は2003年11月、小型デジカメとしては初めて光学的な手ぶれ補正機構を搭載した「DMC-FX1」および「DMC-FX5」を発売しました。従来から販売している12倍ズーム機の「LUMIX FZ」シリーズに搭載していた光学式手ぶれ補正機構「手ぶれ補正ジャイロ」を小型化したものです。

●コンパクトタイプのデジカメにも光学的手ぶれ補正機構を搭載
松下電器産業のコンパクトデジカメ「LUMIX DMC-FX5」(写真、実勢価格5万5000円)と「同FX1」(同約4万5000円)には、光学式の手ぶれ補正機構が搭載されている。同社がデジタルビデオカメラで培った技術を生かしたという 手ぶれ補正用のレンズを移動させることにより、光軸のズレを修正する。松下電器産業の12倍ズーム機に搭載する仕組みと基本的には同じだが、大幅に小型化している

 同社が採用しているのは、鏡筒中央部の手ぶれ補正用レンズ機構が、光軸のずれに応じて動作する技術。宙に浮いた状態の手ぶれ補正用レンズを磁力を使ってスライドさせます。静止画のみならず、動画の手ぶれにも対応します。

 この方式はカメラの鏡筒内部に手ぶれ補正機構を備える必要があるため、従来はどうしても鏡筒が大きくなってしまう欠点がありました。しかし、松下はレンズなどを改良することによって大幅な小型化に成功しました。

 レンズ移動による手ぶれ補正機構は、もともとはデジタルビデオカメラに使われていた技術を転用したものなので、松下と同様にデジタルビデオ分野で実績のあるキヤノンやソニーも、今後は同様の技術を搭載してくる可能性があります。

●光学的手ぶれ補正の方式

CCD移動で薄く

 同じ光学式でも、CCDを移動させて補正する機構を採用しているのがコニカミノルタです。2003年9月、同社は光学式手ぶれ補正機構「Anti-Shake」を搭載した「DiMAGE A1」を発売しました。




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