パソコンだと映像がボケるのはなぜ?

家庭用のDVDレコーダーで録画した番組を、パソコンで再生するとボケて見えます。全画面表示にしているのが悪いのでしょうか。原因を教えてください。

テレビとパソコン用ディスプレイでは、右上の図のように、解像度や表示方式、さらに輝度や発色に違いがあります。順に説明しましょう。
●テレビとパソコンの違い
テレビの元映像の解像度は低い
映像を表示する方式が異なる
輝度や発色、応答速度に違いがある

 まずは解像度。地上アナログ放送を受信するテレビは、放送局から送られて来た映像を画面の左上から水平方向に1ラインずつ描いていきます。これを走査(スキャン)と呼び、テレビの解像度はこの走査線の本数で表されます。走査線は全部で525本ですが、画面の下から上へ戻る「帰線期間」が含まれるため、実際に映し出されるのは480本程度となります。

 一方、パソコンの解像度は1024×768ドットや1280×768ドット。テレビでは768本の走査線に相当します。つまり、パソコンにテレビ映像を全画面で表示するには、垂直方向で言えば480本の映像を768本に引き伸ばすことになるわけです(左下の図)。斜め方向にギザギザとした線(ジャギー)が入ったりして、滑らかに見えないのはそのためです。

●元のテレビ映像はサイズが小さい
テレビの解像度は垂直方向に480本程度。これをパソコンで768ドット(走査線で768本に相当)などに引き伸ばす(水平方向もそれに応じて伸びる)。そのために、ボケた映像になってしまう
映像を補完処理で表示

 映像出力の方式も異なります。テレビの場合は奇数ラインを描いた後に偶数ラインを描く「飛び越し走査(インタレース)方式」を採用しています。これに対し、パソコンは一度に1枚の絵を表示する「順次走査(ノンインタレース、プログレッシブ)方式」(下の図)。パソコンでテレビの映像を表示する際は、インタレース用の映像を補完してプログレッシブ方式に変換します。これも、映像がボヤけて見える原因となります。

 さらに、ディスプレイの輝度や発色、応答速度の違いもあります。テレビは動画を見るために最適設計されていますが、パソコンは基本的に静止画像の特性に合わせて設計されています。一般的にはパソコン用はテレビより輝度は低く、発色は地味。応答速度も遅くなります。

●表示方式にも違いがある
テレビは1枚の絵を2回に分けて映す「飛び越し走査(インタレース)」方式で表示する(上)。一方、パソコンは一度に1枚の絵を表示する「順次走査(プログレッシブ、ノンインタレース)」方式(下)。パソコンでテレビの映像を映すときは、インタレースからノンインタレースに補完処理している

 ただ、DVD再生ソフトの中には、「WinDVD Platinum5」のように画質調整の機能を持つものもあります。ある程度は動画の画質を調整できるので試してみるとよいでしょう。

●色味はソフトで調整可能
パソコンのDVD再生ソフトには画質調整の機能があり、明るさや色味を調整できる。画面は「WinDVD Platinum5」(インタービデオジャパン)。表示する機器ごとに明るさやコントラストなどがあらかじめ設定されている