16倍速書き込みはあまり効果がない? 書き込み型DVDの高速化が進んでいますが、「今後は速度のスペック値ほど実際の効果はでない」と聞きます。それはなぜでしょうか。また、高速化に限界はあるのでしょうか。 書き込み型DVDドライブの使い勝手を左右するのが速度です。この数字が大きいほど、データの書き込み時間を短縮できるからです。 DVDでは、1秒あたり1350KBのデータ書き込みが「等倍速」になります。2倍速ドライブなら2700KB/秒、4倍速なら5400KB/秒でデータ書き込みが可能です。 書き込み型DVDドライブでは初期の等倍速から4倍速まで、表示速度に比例した時間短縮効果があります。例えば、4.7GB分のデータを書き込むのに当倍速で60分かかりますが、2倍速なら30分、4倍速なら15分で済みます。しかし、8倍速以上になると事情が異なります。8倍速では4.7GBのデータを書き込むのに単純計算では7.5分となりますが、実際には約10分もかかるのです。今後登場する16倍速は約6分かかります。
書き込み速度としてカタログなどに表記されている数字は、「最大」の速度です。現在、DVD-Rでは最大8倍速、DVD+Rでは最大12倍速の書き込みまでを実用化していますが、これらの8倍速以上のドライブでは、ディスク全体をその速度で記録していません。あくまで一部の領域をその最大速度で記録しているだけです。
これは、CDドライブやDVDドライブなど、ディスクを回転させることでデータの記録・再生を行う機器には、物理的にディスク回転数に制限があるためです。回転数が毎分1万を超えると、物理特性上、ディスクに異常をきたし、ディスクが粉々になることもあります。このため、ドライブ側でディスクの回転数を制御する必要があります。 4倍速までは、毎分1万回転に達しないため、ディスク全体にその最大速度で書き込めます。ところが、8倍速を実現しようとすると、ディスクの構造上、内周部では毎分1万回転を超えます。そこで内周部の書き込み速度を4〜6倍速に抑え、毎分1万回転に達しない一定のエリアから8倍速で書き込みます。 このように、全体を8倍速で書き込まないため、カタログの表記速度に比例した時間短縮の効果が得られないのです。16倍速であれば、実際に最高速で書き込めるエリアは8倍速よりも狭くなります。
しかも、高速化のメリットをどれだけ享受できるかは、書き込むデータの容量次第です。DVDディスクは通常、内周部から外周部に向かってデータを書き込むからです。つまり、8倍速以上の高速ドライブでは、書き込むデータ容量が小さければ、最高速に達する前に書き込みが完了してしまうのです。8倍速以上の高速化によるメリットを享受できるのは、4.7GBに近い大容量データの書き込み時にほぼ限られるでしょう。なお、DVDでは16倍速で最外周部が毎分1万回転近くになるため、高速化はこれが限界とされています。 |
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