CD-RWを再生できない場合があるのは?
 車の中で楽しもうと、お気に入りの曲を選んでCD-RWに書き込みました。部屋のコンポでは聴けましたが、カーオーディオでは再生できません。考えられる原因を教えて下さい。
外観からはその違いが分かりませんが、CDにはたくさんの種類があります。音楽CD、CD-R、CD-RWはいずれも直径12cmのディスクですが、データの記録方法はかなり違います。CD-RWに楽曲データを書き込んでもカーオーディオで再生できなかったのは、ここに原因があります。こうした各種CDの仕様は企画書で厳密に定められています。
●CD関連の規格は仕様で決まっている |
規格書名 |
説明 |
レッドブック |
オーディオCD(CD-DA)の仕様。ディスクの物理的な仕様や信号方式も定めてある |
イエローブック |
CD-ROMの仕様 |
グリーンブック |
CD-I、CD-ROM XAの仕様 |
オレンジブック |
CD-MO、CD-R、CD-RWの仕様 |
ホワイトブック |
Video CDの仕様 |
ブルーブック |
CD-EXTRAの仕様 |
パープルブック |
DDCDの仕様 |
スカーレットブック |
SACDの仕様 |
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具体的に違いを見てみましょう。まず音楽CDは、データに合わせて盤面に凹凸を物理的にプレスします。レーザーを凹凸に当て、反射した光の変化をピックアップで読み取ることでデータを再生します。
CD-RとCD-RWも、書き込んだデータをレーザーで読み取る点は共通しています。違いがあるのは、データの記録層に使われる素材。1度記録したデータを書き換えられない追記型のCD-Rは、有機的な色素を使用。凹にした部分にレーザー光を当てて焼き切ります。
一方、書き換え可能なCD-RWは、相変化化合物と呼ばれる素材が使われます。この素材には、レーザーで急激に熱してから冷やすと結晶状態が壊れ、ゆっくり熱すると結晶に戻る性質があります。結晶、非結晶と状態が変化する性質を利用してデータを書き換えるのです。
●CD-RとCD-RWの違い |
フォーマット |
内容 |
書き込み方法 |
CD-DA |
音楽CD |
物理的に凹凸をプレスする |
CD-R |
データや音楽を1度だけ書き込める。書き込み後は消去できない |
有機色素をレーザーで焼く |
CD-RW |
データや音楽を書き込め、何回でも書き換えたり消去できる(理論上は1000回程度) |
相変化化合物の結晶・非結晶状態をレーザーで変化させる |
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ここで問題になるのが、CD-RWは素材の特性上レーザーの反射率が低いこと。つまり、出力が弱くなるため、読み取り精度の高いピックアップを搭載しないと信号を再生できないのです。反射率はCD-Rが約70%であるのに対し、CD-RWは約20%しかありません。CD-RWの利用を想定していない一部のオーディオ機器や、初期のCD-ROMドライブでは再生できません。
●CD-RWが再生できない理由 |
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CD-RとCD-RWは盤面の反射率が違う。CD-RWは約20%と低く、レーザーの反射光が弱くても読み取れる製品でないと再生できない |
●MP3やWMAに非対応でもNG |
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CD-RWに対応していても、MP3やWMAといった圧縮形式で書き込むと再生できない場合がある。圧縮フォーマットに対応するのは、最近のカーオーディオ製品に限られる |
なお、機器がCD-RWに対応していても、書き込む楽曲データのフォーマットには注意が必要です。通常、オーディオ機器が対応しているのは音楽CDで使われるCD-DA形式のみ。MP3やWMAといった圧縮形式で書き込んでも、機器側がそれらをサポートしてないと再生できません。
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