無線LANの11a規格が変わると今までの製品は使えなくなる?

ショップの無線LAN製品売り場で「国際標準の新11a対応」と書いてある新製品を見かけました。規格が変わるそうですが、今まで使っていた無線ルーターや子機は使えなくなるのでしょうか?

5月16日に電波法施行規則等の一部が改正され、IEEE801.11aで使用する周波数が変更になりました。既に新11a対応の無線LAN機器が登場していますが、今までの旧11a対応機器が使えなくなるわけではありません。

 既に使っている旧11a対応機器は、そのまま使い続けても法的には問題ありません。当面の間はショップでも、旧11a対応機器が継続販売される予定です。そしてメーカーが提供を予定している無償バージョンアップサービスで、旧11a対応製品を新11a対応に変更できるようになります。

 今回の改正では、旧11aで使用していた4チャンネル「J52」の通信周波数が変わり、新11aの4チャンネル「W52」に変更されます。また従来使えなかった5250MHz以上の周波数帯で「W53」の4チャンネルが利用できるようになります。これまで欧米各国と異なっていた周波数帯を変更して世界標準に合わせ、互換性を高めるためです。詳しくは下図を参考にしてください。

●通信周波数を変更、4チャンネル追加で計8チャンネルに
旧11aの「J52」は新11aで「W52」に変更、新たに「W53」が追加された。「W53」の周波数帯は気象レーダーなどと重なるため、無線LAN機器がレーダー波を検出すると該当チャンネルの使用を30分間禁止するなどの制限がある

 旧11aと新11aの機器を同時に使う場合、組み合わせには注意が必要です。まず、親機が旧11a、子機が新11aの場合を考えてみましょう。親機が使えるのは「J52」の4チャンネルだけですが、新11aの子機は「J52/W52/W53」の12チャンネルすべてが使えるので、「J52」で通信できます。

 逆に親機が新11a、子機が旧11aだと通信はできなくなります。親機のチャンネルは「W52/W53」、子機のチャンネルは「J52」だからです。この場合は子機を新11a対応の「J52/W52」にバージョンアップする必要があります。メーカーのバージョンアップサービスは7月〜9月にかけて開始される予定です。手持ちの周辺機器やパソコンの、メーカー公式サポートページで確認してみてください。

●旧11a・新11a無線LAN機器の通信可能な親機と子機の組み合わせ
既存製品と
新製品の
通信互換性
無線LAN子機
既存製品(未バージョンアップ)J52 既存製品(バージョンアップ後)J52・W52 新製品(2008年5月末まで)J52・W52・W53 新製品(2008年6月以降)W52・W53


L
A
N

既存製品(未バージョンアップ)J52 ○(J52) ○(J52) ○(J52) ×
既存製品(バージョンアップ後)W52 × ○(W52) ○(W52) ○(W52)
新製品(新11a対応)W52・W53 × △(W52) ◎(W52/W53) ◎(W52/W53)
○J52またはW52で、最大4チャンネル使用可能/◎W52/W53で、最大8チャンネル使用可能/△親機の設定により、W52で最大4チャンネル使用可能/×使用不可能

●新・旧11a対応製品はパッケージのロゴで区別
旧11a対応の親機、子機 新・旧11a対応の子機 新11a対応の親機
新11a登場後の無線LAN機器のパッケージやカタログには、対応チャンネルのロゴが表示される。新11a子機は旧11aの「J52」にも対応するが、新11a親機は「W52/W53」のみ対応なので注意しよう