国宝「清白寺」の梅の花

 「清白寺」山梨県山梨市の三ヶ所地区にあります。JR中央線「東山梨駅」から徒歩で10分ほどの果樹園地帯の中にあります。
 入り口の市道(車は軽自動車がやっとの狭い道)から本道までの約100Mの参道の両脇は梅の木並び張るには香しい匂いで楽しませてくれます。また、境内にはしだれ梅もあり、趣のある樹形が見ものです。
 清白寺は、足利尊氏が夢窓疎石(国師)を開山とし、正慶2年(1333年)に創立したと伝えられる臨済宗の由緒ある寺院です。仏殿の建立は、組物に墨書が発見され、応永22年(1415年)と判明しました。天和2年(1682年)の寺院火災にも災いをまぬがれた貴重なものとなっています。
この仏殿はわが国の仏教建築の主な様式のひとつである禅宗様建築の代表的遺構として知られ、「方三間裳階付仏殿」とよばれる形式の典型例でもあります。同様の形式を持つものの中で最小規模にまとめられているほか内部に文様彩色と丁寧な漆塗が施されている点は他に例がありません。鎌倉から室町時代は、貴族や武士の信仰を得て、各地に禅宗寺院が盛んに創立されましたが、その後衰退したため、現存する遺構のうち室町中期までさかのぼるものは極めて少なく、禅宗仏殿の古い様式を伝える一例として価値の高いものです。