敦煌市内から南東へ砂漠の中のアスファルト道路を30分ほど走ると中国三大石窟の莫高窟に到着する。ホプラの防風林を抜けると岸壁が迫ってくる。南北に1600mにも渡る岸壁には、1000をこす石窟が掘り込まれ、仏教美術の宝庫である。
 歴史の暗闇に埋もれもひっそりと時の流れに身を負かせ、忘れ去られた莫高窟が世界の人々から注目されるようになったのは、20世紀に入ってからである。
 イギリスのスタイン、フランスのペリオ、ロシアのオプルーチェフ、さらには西本願寺法主大谷光端らが、文化財の山をめがけ乗り込み、ただ同然で貴重な経典や仏像を自国へ持ち去っていった。
 見学はガイド付が原則で、一般に公開されている32ケ所の外、別料金で13ケ所を見ることが出来るが状況により見学の石窟は随時変わっている。